2014年3月7日発行のドイツニュースダイジェスト第973号に掲載の記事に、加筆修正したものです。
先進国では、様々な少子高齢化対策を講じています。フランスではそれが功を奏したのか、合計特殊出生率(女性が一生の間に産む子どもの平均数)は約2.03人(2011年)にまで上昇しました。
日本とドイツは、いずれも1.4人ですが、ドイツの方が子どものいる家庭を積極的に支援する政策を取っています。今後、両国の出生率はどのように変化していくのでしょうか?
育児支援制度を整えることで出生率が上がったとしても、納税者人口が増加するのは20年後以降となりますが、社会が子どもを育てやすい環境を作り、子どもが増えることによって、私たちが将来受け取る年金の担い手が増え、納税人口が増えれば、私たちの子どもや孫の世代の1人当たりの負担も減ることになります。
今回と次回は、ドイツで子どもを持った親が、どのような制度を利用できるのかを見ていきましょう。
目次
育児休暇(Elternzeit)
従業員が15人以上いる会社の従業員には3年間までの育児休暇を得る権利があります。育児休暇は、母親とその夫はもちろん、祖父母、親戚、養父母、継父母でも、また両親共に同時に取ることもできます。
休暇期間中は、働いてはいけないというわけではなく、むしろ時々会社に行ったり、在宅でできる仕事をこなしたりすることで、期間終了後の復帰がスムーズにいくようにすることも可能です。申請は8週間前までに、書面にて雇用主に提出します。
育児期間と年金補助
子どもが生まれた次の月から36カ月間をErziehungszseit(育児期間)と言い、国がその間の社会保障費を負担してくれます。
母親が働き、父親が子どもの面倒を見る場合、父親がこの権利を得ることもできます。
この期間は年金保険料支払い期間としても加算されますので、仕事をしていなくても、子どもを2人持てば6年間、年金保険料が支払われ、年金受給資格を得ます。
子ども1人の育児期間3年分で将来受給できる毎月の年金額は旧西独で84ユーロ、旧東独で75ユーロ。
育児期間中の年金手続きは、ドイツ国内で子どもが生まれた場合は出生届の提出により自動的に行われますが、国外で生まれた場合にはドイツ年金庁(www.deutsche-rentenversicherung.de)への申請が必要です。
児童手当(Kindergeld)
子どもが生まれた月から18歳まで支給されます。その後も学生や職業訓練生(Azubi)などの場合、または労働時間が平均週20時間以下で、月の収入が450ユーロ以下であれば、最長25歳まで延長可能です。
子ども1人当たりの受給額は、2人目までが月194ユーロ、3人目は200ユーロ、4人目以降は225ユーロ(2018年現在)です。
例えば、夫婦の間に子どもが2人いる場合に母親が受け取る児童手当は190×2=380ユーロ。しかし、父親が現在の婚姻以前にもう1人子どもをもうけている場合は、父親にとっては再婚相手との子どもは2番目と3番目の子どもになるので、父親名義で児童手当を受け取れば190+200=390ユーロと、毎月10ユーロ多く受け取れることになります。
受給権利があったのに申請しなかった場合は、さかのぼって受給権が発生します。両親が外国人で、学生ビザで滞在していたり、納税していない場合は受給できないこともあります。
最近の法改正を経て、外国人でも児童手当が受給しやすくなったようです。
遡っての受給も可能なため、子ども二人分の児童手当過去2年分をもらうとすると、184€ x 2人 x 24ヶ月で、なんと 8,832€ にもなります。
以前は申請から何年も遡っての受給が可能でしたが、2018年からは遡れるのは6ヶ月までと変更になりました。
以下から申し込みができます。
⇒ Agentur für Arbeit
児童手当(Kindergeld)の申請代行も承っております。お申込みはこちらから
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