法定健康保険とプライベート健康保険

Health Costsドイツニュースダイジェスト2013年12月6日発行 第967号に掲載の記事の全文です。

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ドイツには、法定とプライベートの2種類の健康保険があります。

2013年現在、月収4350ユーロ未満の被雇用者には法定健康保険への加入が義務付けられていますが、月収がこの限度額を超える被雇用者やフリーランサー、会社経営者の加入は任意となり、プライベート健康保険を選択することもできます。

健康保険を決める際に、相談相手によっては「プライベート保険にしか入れない」と言われることがあるようですが、これはプライベート健康保険のほうが仲介手数料が高いということもあるようです。

 

 フリーランサーの場合、法定健康保険料はなんと約380ユーロ(軽減保険料約250€)にもなるため、プライベート健康保険の方が毎月の保険料を抑えられる可能性もありますが、その分老後の出費は高くつきます(後述)。

被雇用者がいったんプライベート健康保険を選択すると、月収が限度額未満にならない限り、法定健康保険に再加入することはできませんので、自身へのメリットとデメリットを確認した上で選択することが肝心です。

以下に、法定健康保険とプライベート健康保険の保険料と保障内容に関する留意点をご紹介します。

 

保険料

法定健康保険料は収入に対する割合で決められるため、どの保険会社でも保険料と基本的な保障内容は変わらず、家族保険の加入者に保険料は掛かりません。

一方、プライベート健康保険では保障内容や加入時の年齢、既往症などによって1人当たりの保険料が決まります。

高所得者やフリーランサーの場合、法定健康保険よりも保険料は安く済みますが、年金生活に入り、収入が減っても保険料は変わらないため、老後に保険料を支払えない人が続出し、社会問題となっています。

毎月の年金受給額が1200ユーロしかないのに、夫婦2人分の健康保険料が600ユーロも掛かるといった事態が起きているのです。

そこで、プライベートを選択する際は、毎月の保険料を抑えられる分、年金保険を多めに掛けておく、夫婦のうち片方は法定健康保険に加入しておくなどの対策が必要です。

 

保障内容

少子高齢化の影響により、法定健康保険の保障内容は、これまでも大きく削られてきました。

以前は眼鏡やコンタクトレンズ、歯の詰め物などもすべてカバーされていましたが、これらは現在、ほとんど保障されません。

今後も少子高齢化の進行とともにその傾向は続き、保障内容がさらに削られていく可能性があります。

保障されなくなった治療を、追加の保険などである程度カバーすることはできますが、加入時点で既往症があったり、治療を受けている場合は、追加料金が必要となったり、加入できないということがあり得ます。

その点、プライベート保険では加入時の保障内容が維持されるので安心です。

 

法定健康保険は、健康状態にかかわらず加入できますが、プライベート健康保険では、加入年齢が上がれば保険料も上がり、既往症によっては追加料金が発生するか、加入できないこともあります。通常、新規加入には55歳までの年齢制限があります。

法定健康保険とプライベート健康保険のどちらが経済的に有利かということは、結果論でしか分かりません。将来も、法定健康保険でカバーされない大きな治療を必要としないのであれば、法定健康保険の方がお得かもしれませんが、そうでないのならプライベート健康保険の方が適していたことになります。

 人生を楽しむための一番の保険は、健康でいることだと思います。私たちに最も必要なのは、そのための投資、すなわち食事や運動、精神面などに気を配ることではないでしょうか。

 

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