前回の記事「ドイツと日本の国籍と出生届」の続きです。
国籍選択制度
日本は国籍選択制度をとっています。
私の長女はドイツで生まれ、現在ドイツと日本の両方の国籍を持っています。その場合は日本側は22才までに国籍の選択をしなければならないことになっています。
具体的には領事館に日本の国籍選択届けを提出します。その際、今のところは外国籍を離脱したことを証明する必要はないようです。
国籍法には
—–
国籍法 第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
—–
とあります。離脱に努めなければならないとありますが罰則規定はありませんし、これによって外国籍離脱を強制されているわではありません。
ドイツ側はどうなっているかというと、ドイツにとって日本の国籍選択届けの提出は当人のドイツ国籍にはなんの影響も与えません。また、日本政府からドイツ側に日本国籍を選択したものの名前が公表されるわけではありません。また、ドイツの国籍を選択してもその情報は日本政府には伝えていません。
これは在東京ドイツ大使館が、「国際結婚を考える会」からの質問状に対して書面回答しています。
以下のリンクのPDFの7ページをご参照ください。
http://homepage3.nifty.com/amfe-community/pdf/Kokusekiho-Germany.pdf
(上記残念ながらリンク切れです。資料が見つかればまた掲載します。)
ドイツ国籍法
ドイツでは2000年に国籍法が改めれました。
ドイツではどちらかの親がドイツ人の場合は国籍の選択をする必要がありません。そこで上記の日本国籍選択の宣言をすることによって事実上二重国籍を持ち続けることは可能のようです。
両親ともに外国人(日本人)の場合は、
- そのいずれかが8年以上合法に滞在しており、
- この親が滞在権をもっているか、ここ3年間、無期限の滞在許可をもっていると
- 生まれた子供は自動的にドイツ国籍を取得します。
これは期限付きの二重国籍で
- 18才から23才の間にどちらかの国籍を選ばなければなりません。
- 選択決定がない場合には自動的にドイツ国籍を喪失します。
- 自分の国が国籍離脱を認めない場合は例外的に二重国籍を認める
- その場合は21才までに申請すること
ドイツへの帰化
ドイツへの帰化は8年間の滞在で可能になりました。2000年以前の旧国籍法では15年でした。その際の条件は
- 外国籍の放棄
- 滞在許可または滞在権の所有
- 前科がなく、憲法に反する目的を追求しないこと
- 社会保障を受けることなく自分と扶養家族を養うことが可能である
- 十分なドイツ語知識
となっています。日本の20年に比べるとはるかに簡単にドイツ人になれますね。
ドイツ国外のドイツ人
さて、私たちと反対の立場のドイツ人、つまり外国に長く住むドイツ人とその子供についてドイツはどう規定しているかというと、
外国に生まれたドイツ人で、そこに長期的に滞在している者は無条件に子供にドイツ国籍を引き継ぐことはできない。
とありますが、同時に
この子供は、これまでの規定に反して、両親が出生後1年以内にドイツ領事館に届け出た場合はドイツ国籍を取得する。
となっています。猶予は1年あるので、日本よりはその点でゆるいですね。どちらにしても国というのは外国で無条件に自国民を増やしたくないもののようです。その国の言語や文化を習得していないものが国民としての権利を主張すると困るのかもしれません。
いずれ、国境や国籍のなくなるような平和な時代がくるのでしょうか?ジョン・レノンがイマジンで歌ったように。
—
(追記)その後2014年にドイツの法律が改正され、二重国籍の可能性が広がりました。以下の記事をご参照下さい。
国籍関連は以下の記事もご参照ください。
https://dj-finanz.de/category/sonstige/kokuseki/