ドイツニュースダイジェスト987号に掲載の記事です。
住宅は賃貸がいいか購入がいいか、というのは常にあるテーマですが、私はどちらがいいかと訊かれれば、今ならやはり「購入」だと答えます。ただし、自分にあった適切なものであればという条件付きです。
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低利子の今、住宅は買い?
住宅ローンの金利は過去に例がないほど低く、現在は条件によっては年利1%代での借り入れも可能です。
数年前には4-5%、90年台まで遡れば9%ほどだったこともありますから、少し前に購入した方からみたら羨ましいほどの低金利です。
借り入れ12万ユーロで年利1%だと毎月の金利支払いは、12万ユーロx1% ÷ 12ヶ月=100€となります。 ですから例えば今24万ユーロの借り入れをした場合、年利2%では毎月の金利の支払いは400€です。
ところが数年前に年利4%でローンを組んだ人はその倍の800€となり、毎月400€もの差がでてくるわけですからこの違いがよくわかると思います。(それでも当時でも今までにない過去最低の利子でなので買い時、と言われていました。)
少し前までは30年ローンじゃないと買えない価格のものが20年ローンでも買えるようになっていますから、40半ばの方で今まで住宅を購入しなかった方にも再びチャンスが到来したわけです。30代の方にとっても、毎月の負担が軽くなりますのでチャンスが広がったことになります。
老後に家賃が要らないのは本当に得?
現在払っている家賃相当額で返済分と経費を払い、ローンの支払が終わればその後の家賃はいらないとなれば、老後に自由になる額は随分と違ってきます。
35歳で家賃1000€のところに住んでいる場合、家賃の上昇率を年1.5%とすると67歳までに払う家賃は488.000ユーロ。30年後には家賃は1500ユーロを超えます。
その後67歳から85歳までに払う家賃は396.000ユーロとなりますが、住宅を購入した場合はその大部分は払う必要はないことになりますので圧倒的に有利です、というのが住宅を買って欲しい人たち(住宅関連産業、金融機関、不動産屋など)の主張ですが、本当でしょうか?
自分にあった住宅(価格)を選ぶ
巷には「住宅は買ったほうが得!」という広告があり、不動産屋や金融機関などに相談に行けば、あなたの現在の収入ではこれくらいの額の住宅を買えますよと教えてくれます。
それは嘘ではありませんが、ただそれは、失業も減給もなく、最低限の生活費以外の出費がないとしての話だったりする場合もありますので注意が必要です。
また、購入する側にもある程度の知識がないと、銀行が提案してくれる住宅ローンプランは必ずしも顧客側に立ったものであるとは限りません。 言われるままに利子固定期間を例えば10年などど短くすると、その後にもし利子が跳ね上がった場合には、毎月返済額を上げなければならないか、返済期間が長引くリスクもあります。
ですので、それに乗せられてしまうと高過ぎる買い物をして後で生活が苦しくなったり、返済が思ったように進まないなどということにもなりかねません。
売る方からしたら、買える範囲でなるべく高い住宅を買ってもらったほうが儲かるわけで、支払いさえしてもらえれば、そのためにその人の外食や旅行が減ったり、十分な年金がなくても関係ないので、そのようなアドバイスはしてくれません。
住宅を購入する際には、ローンの支払い以外のHausgeld(建物保険・管理費・修繕用積立などを含む)などの必要経費、光熱水道費、その後の生活で必要になる費用や思わぬ出費、年金プランも含めて計画し、資金的に余裕があることが大切です。
他にも考慮すべきことはありますが、以上のようなことを踏まえた上でなら、この低利子の今やはり住宅は「買い」だと思います。
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