ドイツの年金 3層モデル

ドイツニュースダイジェスト第962号に掲載の記事に加筆したものです。

ドイツの年金は 2005 年の法改正以降、「3 層モデル」と 言われる体系を取っており、税制上、大きく分けて 3 つに 分類されます。

 年金3層モデル

1層目は法定年金(Gesetzliche Rentenversicherung) とリュールップ年金(Rüruprente, Basisrente)で す。2005 年以降、年金収入が漸次課税されることになり ましたが、代わりにこれらの年金保険料が漸次控除対象と なりました。

 2 層目は、リースター年金(Riesterrente)と企業年金 (Direktversicherung)。こちらは一定の限度額までは 100%が控除対象となりますが、受給時は100%課税対象 となります。リースター年金は 30%まで、企業年金は全額の一括受給も可能です。

3 層目はプライベート年金保険。毎月の保険料は控除対象となりませんが、年金受給時には課税対象となります。全額一括受給可能。2004年以前の契約では一括受給の際の利息は非課税、2005年以降の契約では50%が非課税となります。

法定年金

法定年金の受給額は、実質賃金の半分以下とも言われています。名義人が死亡した場合に配偶者が受け取る遺族年金は、受 給額の 55%。例えば、専業主婦が夫よりもずっと若い場合、 女性の平均年齢のほうが長いこともあり、老後の貧困リス クがより高まることになります。したがって、例え自分自身 の収入がないとしても、自分名義の年金保険を掛けておく ことが大切です。

リュールップ年金 

リュールップ年金は法定年金と合わせて、独身者は年間約 25.000ユーロ、既婚者は年間約 5万ユーロまで所得税控除 できます。随時入金が可能なので、自営業者、または臨時 収入がある場合、この年金制度を利用すれば、年度末調整 で利益幅を調整し、合法的に節税することができます。 

例 えば年収が3万ユーロの独身者の場合、1000ユーロ分 を所得税から控除すると、約 330ユーロも節税できます。 リュールップ年金の途中解約・払戻しはできません。また、 受給形態は「毎月の受け取り」に限られており、一括受給はできません。

受給時の課税は率は漸次引き上げられ、2040年以降の受給開始で100%所得税対象となります。

リースター年金 

リースター年金は、収入に応じて自己負担額を積み立てると補助金を受けられる制度で、特に低所得の母親にとって有利な制度です。例えば2008年以降に生まれた子どもが2人いて、年収1万8000ユーロ以下の場合、年間60ユーロの自己負担額で 754ユーロの補助金が得られます。

ただし、将来欧州連合(EU)域外に移住しドイツで納税義務がないと、 オフィシャルには補助金と税控除特典が取り消されることになっています。もしそうなったとしても自己負担分には利子がついて受給できますから損をするわけではありません。

 企業年金

企業年金は雇用主を通して加入します。一定の保険料ま では所得税と社会保障費が控除されるので、従業員にとってはメリット大です。

プライベート年金

3 層目のプライベート年金保険の積立額は税控除の対象にはなり ませんが、

・一括受給時のキャピタルゲイン税が半額

・毎月受給の場合は一部のみ所得税対象(67歳受給開始で17%)

というメリットがありあmす。

年金保険に 新規加入する場合の受給開始年齢は原則 63 歳ですが、プ ライベート年金保険では、受給開始前でも一部引き出し 可能なので中期的貯蓄にも適しています。 

年金保険でETF投資

年金保険の毎月積み立てでETFを購入してインデックス投資をすることもできます。

 

具体的な見積もり、ご質問はお問い合わせください。