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リュルップ年金で節税
特に税制上メリットが大きいのは、リュルップ年金(Basisrente)です。リュルップ年金への積立額は、2017 年はその金額の84%が控除対象となっています。控除率は毎年2%ずつ引き上げられ、2025年以降は100%が控除対象となります。
給与所得者が天引きで支払っている法定年金も同様の控除率となっていますので、給与の額面が変わらなくても毎年1月の給与は前年よりもこの2%の控除分だけ高くなっているはずです。
この制度は2005年に始まりました。それまで受給する年金は非課税だったのですが、2005年以降は年金もだんだんと課税対象となり、2040年には100%課税されます。その代わり、法定年金とリュルップ年金への積立は段階的に非課税とすることになりました。
これにより、当面は手取りが増えることになったのですが、増えた分を消費してしまっては意味がありません。政府の意図としては、そのお金を個人年金などに投資し、将来の年金の不足分を自分たちで補うように、ということなのです。
リュルップ年金は法定年金と合わせて、年間一人当たり2万2766ユーロまで、夫婦では4万5532ユーロまでが控除対象となります。臨時収入があった場合や、収入の浮き沈みのある自営業者は、収入の多い年により多くリュルップ年金に積み立てることで、その分、より多く税金控除することができます。
実際にはいくらの税金が戻ってくる?
毎月100ユーロをリュルップ年金に積み立てた場合、2016年の控除率は82%ですので、控除額は100ユーロx12カ月x 82% = 984ユーロ。これに所得に応じた境界税率(Grenzsteuersatz)をかけたものがおよその所得税還付額となります。(正確な数字ではありません)
境界税率とは、ある年間所得に対して1ユーロの控除をした場合に還付される所得税の割合です。その所得における平均税率とは異なります。
例えば3万ユーロの年収がある既婚者なら、境界税率は約25%になりますから、上記の例では控除額984ユーロの25%で2016年分は約246 ユーロの税金が還付されることになります。
そうすると年間1200ユーロの積立額に対しての還付額246ユーロは約20%ですから、毎月80ユーロの積立で毎月100ユーロを年金保険に積み立てる効果があるとも言えます。
銀行の利子が0.1%の時代ですから、税金の高いドイツでは所得税控除の制度を利用すると大きな効果があります。
また、前回までのコラムでご紹介したような投信(Fonds)を、リュルップ年金に組み合わせることも可能です。
(2016.07.10 投稿)
ドイツニュースダイジェスト2016年7月1029号に掲載の記事です。
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